賃貸仲介エージェントマニュアル

掲載されている物件には2種類ある!「自社物件」と「他社物件」の違いとは?

「ポータルサイトに掲載される物件が、自社物件(自社が管理・貸主)と他社物件(他社が管理・貸主)の2種類に分類されることを示した図解。」
ポータルサイトに載っている賃貸物件は、大きく分けて『自社物件』と『他社物件』の2種類。仕組みを理解すれば、提案力もアップします。

不動産ポータルサイトや会社のホームページに載っている賃貸物件には、大きく分けて2種類あります。

①自社物件(自社募集物件)

これは、自分の会社が管理している物件や、オーナーさんから直接依頼を受けて「自社で募集している物件」のことです。たとえば、自社が貸主として借主(入居者)を募集している物件も、ここに含まれます。

理想としては、この自社物件だけを広告に出してお客さんを集められるといいのですが、実際にはそう簡単ではありません。

管理している物件数が少ない会社や、仲介だけを行っていて管理物件を持っていない会社では、そもそも広告に出せる物件が足りないこともあります。

 

②他社物件

そういった場合に必要になるのが「他社物件」です。他社物件とは、他の会社が管理していたり、他社がオーナーの代理として募集している物件のことです。

具体的には、「他の会社が貸主、もしくは代理や媒介として募集している物件」全般がこれにあたります。

こうした物件情報は、不動産会社専用のデータベースである「レインズ」や「BB(ビジネスベース)」などで検索することができます。


宅建業法における「取引」の種類とは?

以下のように、宅建業法では「取引」を8種類に分類しています。

宅建業法における取引の種類を表にした一覧。自ら行う賃貸取引は対象外であることが一目でわかります。
宅建業法における取引の種類を示した表。横軸は「売買」「交換」「賃借(貸借)」、縦軸は「自ら」「代理」「媒介」。すべての取引形態に○がついているが、「自ら×賃借(貸借)」のみ×がついている。

この表からわかるように、「貸借の媒介」も宅建業の取引にあたります。一方で、自社が貸主として募集している物件(=自ら貸主となっている物件)は、法律上の「宅建業の取引」には含まれないという点に注意が必要です。


「レインズ」に掲載されない物件とは?

「レインズ」というボックスから2本の矢印が出ており、左は「売買・交換 掲載される」、右は「賃貸(自社物件) 掲載されない」と記載された図解。レインズでは売買・交換は掲載対象だが、自社物件の賃貸は対象外であることを示している。
宅建業者専用ネットワーク「レインズ」には、売買・交換の取引は掲載されますが、自社所有の賃貸物件は原則として掲載対象外です。この図はその違いを視覚的に示したものです。

ここで、少し専門的な話になりますが、「レインズ」というのは、売買や交換の「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」を結んだときに、一定期間内に物件情報を登録することが義務づけられているシステムです。これは宅建業法第34条の2に定められています。

ただし、ここに登録されるのはあくまで「売買」や「交換」に関する情報です。つまり、「賃貸」や「自社物件(自ら貸主の物件)」の情報は、基本的にレインズには載りません。

そのため、「レインズに載っていない=宅建業の取引ではない物件」だと誤解してしまう方もいるかもしれません。


実際には、情報共有のために掲載されることも多い!

ただし、実際の現場では、たとえ「宅建業の取引に該当しない」自社貸しや転貸(サブリース)の物件であっても、他の不動産会社にも情報を共有して、少しでも早く入居者を見つけたいという意図から、レインズやBBなどに掲載されているケースもよくあります。


「スーツ姿の若い不動産エージェントが、物件資料を手に笑顔でお客様に接客している様子。背景にはポータルサイトやレインズなどのぼかし表示。」
丁寧な接客で信頼される不動産エージェントに。ポータルサイトや物件情報の知識を活かして、お客様に安心を届けましょう。

まとめ

  • 掲載物件には「自社物件」と「他社物件」がある
  • 「自社物件」は自社が貸主として募集しているもの
  • 「他社物件」は他社が管理・媒介・代理している物件
  • 宅建業法では「自ら貸す」行為は取引に該当しない
  • レインズには原則「売買・交換」の情報のみが掲載される
  • ただし実務では、早期成約を狙って賃貸情報も載ることがある

このような知識を知っておくと、物件情報の意味がよりクリアになりますし、お客様への説明にも自信を持てます。初心者エージェントの方は、まずこの基本から覚えていきましょう!

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