街の解剖図

旗の台1丁目の解剖図|無機質な病院街に流れる、誠実という名の温かさ

昭和医科大学病院の高層棟と「昭和医科大学病院」の石の銘板
旗の台駅から北へ歩くと見えてくる、昭和医科大学病院。

旗の台駅の改札を出て北へ少し歩くと、正面に白く大きな建物が立ち上がってきます。通院の人、行き交う職員や学生、送迎の車。駅前の商店街とはまた違う種類の人の流れが、ここで一気に濃くなります。

それが、今回解剖する「旗の台1丁目」です。

6丁目が「駅前からも病院街からも少し離れた、静かな住宅地」だとしたら、1丁目はその正反対。病院と大学、そして小学校が街の大部分を占めている、いわば旗の台の“機能的な中心地”とも言えるエリアです。

旗の台1丁目とは…

昭和医科大学の旗の台キャンパスと昭和医科大学病院、第二延山小学校、清水台小学校といった大きな施設が、街の多くを占めるエリア。住宅はその間を縫うように点在し、単身者や若い世帯、医療・教育に関わる人たちが暮らす、人の出入りと活気のある街です。

施設が織りなす街の構造と、底堅い賃貸需要

旗の台1丁目の地図。中原街道に沿った三角形のエリアに、昭和医科大学と病院、第二延山小学校、清水台小学校、コーナンが並ぶ
旗の台1丁目のおもな施設。南東の端を中原街道が通ります。

地図を広げると、1丁目に占める大型施設の大きさに驚かされます。南東の端を中原街道に区切られた三角形の中に、昭和医科大学のキャンパスと病院、第二延山小学校、清水台小学校がゆったりと並んでいます。戸建て住宅はごくわずかで、多くはマンションやアパートといった集合住宅です。

そのため1丁目は、住む人の入れ替わりが適度にある、流動性のある住宅地と言えます。

賃貸オーナーや貸す側の視点で見ると、この流動性は大きな強みです。大きな病院と医系の大学が目の前にある限り、医療従事者や学生、関係者の住まい探しが途切れにくい。ワンルームや1Kをはじめとする単身向け賃貸のニーズが底堅い、安定感のあるエリアです。

ひとつ知っておきたいのは、2027年4月に昭和医科大学が川崎市の鷺沼に新キャンパスを開く予定で、医・歯・薬学部の2〜3年生などおよそ2,000人がそちらで学ぶ計画になっていることです。学生向けの需要は今より動く可能性がありますが、病院で働く人の住まい探しはこれからも続きます。貸す側としては、「学生」だけでなく「病院で働く人」に選ばれる部屋づくりがカギになりそうです。

無機質な街に漂う、温かさの理由

正直に言うと、はじめてこの街を歩いたとき、「少し無機質だな」と感じました。病院の白い壁面、整然とした大学の校舎。人の生活感よりも、施設の機能性が先に目に入ってくるからです。

でも、何度も通ううちに分かってきたのは、無機質でありながら、どこか心地よい温かみがあるということでした。渋谷のような刺激的な喧騒でもなく、観光地のように外から人が押し寄せる場所でもない。ちょうどいい密度で人が行き交うバランスが、この街にはあります。

その理由を探るため、昭和医科大学(2025年に昭和大学から校名を変更)の歴史をひもといてみました。

この大学の前身、昭和医学専門学校が開校したのは1928年。当時の住所は「荏原郡荏原町大字中延」で、齋藤茂吉が作詞した校歌には「旗ヶ岡」という言葉が歌い込まれています。創立者の上條秀介博士は、知識に偏るのではなく、患者さんの声に親身に耳を傾け、現場で実際に役立つ医師を育てたいと考えました。その思いは「至誠一貫(しせいいっかん)」という建学の精神として、今も受け継がれています。患者さんや困っている人に、まごころを尽くすという意味です。

見た目は機能的で無機質に見える建物の奥に、誠実で人間味のある思想が流れている。もしかすると、この街に漂う独特の安心感や温かさの正体は、そこにあるのかもしれません。

交通アクセス|病院の前から駅へ

日常のメインステーションは、東急池上線と大井町線が交差する「旗の台駅」です。昭和医科大学病院のあたりからなら徒歩5〜6分ほど。

1丁目の北の端、コーナンのあるあたりからだと旗の台駅までは徒歩10分ほど。このエリアからは、池上線の「荏原中延駅」や、大井町線・都営浅草線の「中延駅」も同じくらいの距離で使えます。

最寄り駅利用路線徒歩の目安エリアでの役割
旗の台駅東急池上線・大井町線約5〜10分日常の主軸になる駅
荏原中延駅東急池上線約10分1丁目北部(コーナン周辺)からの選択肢
中延駅東急大井町線・都営浅草線約10分1丁目北部からの選択肢。浅草線で都心へ

※所要時間は街区・番地によって前後します。

立会道路、カーブする道の物語

1丁目を語るうえで、機能の話ばかりでは物足りません。機能一色の街の隙間に、ふっと情緒が顔を出す瞬間があります。それが「立会道路」です。

この道の正体は、暗渠(あんきょ)になった立会川。かつて大雨のたびに水があふれた川は、高度経済成長期に下水道の幹線として地下に収められ、その上が道路や緑道になりました。

旗の台駅のそばで中原街道を渡り、病院の北側を抜けると、立会道路は歩道の緑道から、桜並木の続く一方通行の道に変わり、ゆるやかなカーブを描き始めます。まっすぐな道は景色を一望させてくれますが、カーブする道には「この先に何があるのだろう」という小さな期待感が生まれます。晴れた日に歩くと、その独特のワクワク感がよく分かります。

桜並木の下をゆるやかにカーブしていく立会道路
病院の北側から始まる、立会道路の桜並木のカーブ。

※中原街道より南、3丁目側の立会道路は、歩道と車道が分かれた別の顔をしています。その違いは「旗の台3丁目の解剖図」で詳しく歩いています。

プロが集まるコーナンと、日々の買い物環境

買い物環境に目を向けると、1丁目の中は飲食店の少なさが目立ちます。中原街道沿いにドトールや木曽路はあるものの、選択肢は多くありません。外食の楽しみは、隣の2丁目や3丁目に譲ることになりそうです。

一方で、日常の買い出しは、北隣の荏原4丁目にある「サミットストア荏原4丁目店」が歩いて行ける距離にあり、不便さを感じることはありません。

交差点の角に建つホームセンター「コーナン品川旗の台店」の外観
1丁目の北の端に建つ、コーナン品川旗の台店。

1丁目で面白い存在感を放っているのが「コーナン品川旗の台店」です。一般的なファミリー向けのホームセンターとは少し違い、朝から作業着姿の職人さんたちが出入りしていて、現場向けの資材や道具が目立つ印象です。改修や維持管理の仕事が絶えない大きな病院や大学が集まる街だからこそ、こうした職人さんの需要が根付いているのかもしれません。

公園と緑|北隣の荏原南公園へ

1丁目の中には、延山通り沿いに「旗の台一丁目防災活動広場」があります。名前のとおり防災倉庫などを備えた広場で、桜の木のある小さな遊び場も兼ねています。

桜の木の下に滑り台と水飲み場がある旗の台一丁目防災活動広場
桜の木が影をつくる、旗の台一丁目防災活動広場。

子どもをのびのび遊ばせたいときは、北隣の荏原6丁目にある「荏原南公園」が頼りになります。大型の複合遊具や多目的広場、網に囲まれたキャッチボール場、夏から秋にかけてミストが出る岩山まであり、トイレもあります。公園の前の道は、立会道路の桜並木です。

岩山とベンチのある荏原南公園の広場
夏から秋にはミストが出る、荏原南公園の岩山。

この街が向く人、向かない人

向く人

  • 大きな医療機関が近くにあることに安心感を覚える人:総合病院がすぐ目の前にある暮らしは、いざという時の大きな安心材料になります。
  • 単身〜少人数の機能的な暮らしを求めている人:アパートやマンションの選択肢が多く、駅へのアクセスも良好です。
  • 過度な賑やかさよりも、落ち着いた適度な人通りを好む人:繁華街のような騒々しさがなく、整然とした街並みです。
  • 散歩や緑道歩きを楽しみたい人:立会道路をはじめ、川の記憶が残る歩きやすい道があります。

向かない人

  • 庭付き一戸建てでの暮らしを求めている人:敷地の多くを大型施設が占めているため、戸建ての物件自体がとても少ないエリアです。
  • 歩いて行ける範囲にたくさんの飲食店・カフェがほしい人:1丁目の中は飲食店が少ないため、外食を楽しみたい方は2丁目・3丁目が選択肢になります。
  • 救急車の音などが気になる人:地域の中核病院があるため、サイレンの音は避けられない環境です。

誠実な空気が包む、安心の街

無機質に見える建物群の奥に、「至誠一貫」という誠実さが温かさとなって流れている街、旗の台1丁目。機能的な街並みの隙間に、暗渠のカーブや職人たちの活気がふと顔を出す、独特の魅力を持ったエリアです。

「病院の近くで安心して暮らせる単身マンションを探したい」「1丁目周辺で空室リスクの少ない賃貸物件を探している」など、旗の台エリアを歩いてきた「ジカビー」が、地域のリアルな情報をもとにご相談に乗ります。お気軽に公式LINEからお声がけくださいね。

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