
久ヶ原の駅周辺が持つ、あの静かで凛とした空気感。
いつ歩いても心地いいなと思ってしまう。少しずつ敷地の広い邸宅が並んでいて、街全体に背筋が伸びるような緊張感がある。そんな久ヶ原から、今日の散歩は千鳥町の方へと坂を下っていくルートを選んでみました。
いつもならメイン通りを素通りしてしまうところを、今日は一本ずれて足を向けてみる。いつもと違うことする時って、結構いいことあるんですよね。
そしたら、やっぱり見つけちゃいました。知ってる人は多いかもしれないけど…。
久ヶ原六丁目にある「千鳥いこい公園」。

初めて足を踏み入れたんだけど、思っていた以上に緑が豊かで驚いちゃいました。街の喧騒をすっかり忘れさせてくれるこの木々の深さについては、また改めてじっくり紹介したいと思います。
そして公園の心地よい木漏れ日を通り抜けて、そのまま駅の方へ。
自転車なら見逃してしまうほど小さな、でも温かな店構え
目指したのは、千鳥町にある「グルグルベーカリー」。

外から見るとこぢんまりしていて、正直自転車でスピードを出して通りかかったら見逃してしまいそうなくらい小さな店構え。
でも、扉を開ける前からなんとなく感じるこの親しみやすさは、久ヶ原のパン屋さん「Hutte(ヒュッテ)」に通じる、あの穏やかな空気に似ているなと。
そっとドアを開けて中に入ると、ショーケースや棚には愛らしい顔をしたパンや手作りのラスクがぎっしり並んでいます。
どれにしようか目移りしつつ、「まずはこれだろう」とメロンパンを目当てにショーケースを覗き込む。

ところが、あるはずの姿が見当たらない。何度見てもプライスカードだけ。「え、もう売り切れ?いやいや、まだこんな時間だし……」と少し焦りながら、恐る恐る店員さんに「メロンパンは、これからですかね?」と聞いてみると、
「あ、もう焼けてますよー!」
そう言って笑顔で奥から出してきてくれた。よかった、よかった、ちゃんと会えた。
黒と黄色の引力に引き寄せられて
ただ、棚の前で僕の足を完全に止めたのはメロンパンだけじゃなかったんですよね。
もう一つ、どうしても目が離せない黒いパンが。しかもサンドイッチ。

真っ黒なパンに挟まれた、鮮やかな卵の黄色。そのコントラストが、妙にこっちを主張してくるんです。おまけに「ごま」なんて文字まで見えてしまったら、もう抗えるはずがない。気づけばそのサンドイッチも仲間入りしてたりして、見た目にはめっぽう弱い僕です(笑)。
まずは、焼き立ての温もりが残るメロンパン。

サイズは小ぶりなんだけど、一口食べた瞬間「おっ」と声が出そうに。

表面を覆うビスケット生地の絶妙な食感と、ふわりと広がる優しい甘み。そして決して主張しすぎない、でも確かな存在感のある味。学生時代によく食べてたパン屋さんのメロンパンにめちゃくちゃ似てる。
そして、気になって仕方なかった「ごまミルクサンド」がこちら。

パン生地自体が驚くほどふんわりしていて、鼻を抜ける胡麻の風味がいいかんじ。
卵サンドって、中のフィリングが重たくて途中で「もういいかな」ってなること、僕はけっこうあるんですよね。でもこのグルグルベーカリーのたまごサンドは全然ちがってて。
くどさが一切ない!口の中でスッと軽やかにほどけていく。気がつけば「もう一口、もう一口」と、すっかり美味しいループにハマってしまいました。
街の空気を優しく包む、お店の温もり
パンの味はもちろん美味しいんだけど、このお店を好きになった一番の理由は、他でもない店員さんの心地よい人柄。
こちらのちょっとした問いかけにも柔らかく応えてくれるあの距離感が、初めて訪れたはずのこの街を、なんだかずっと前から知っている場所みたいに感じさせてくれました。
小さな店構えの奥にある、確かな手仕事と真心。
美味しいパンと、穏やかな店員さんの笑顔に出会えて、今日の千鳥町・久が原散歩は最高の一日になりました。またふらっと、あの小さな扉を開けに来ることは、そう遠くはなさそう。