街の解剖図

【旗の台】阿美パン(アメイパン)|台湾の肉鬆パンとネギパンで知った、パン屋に通う理由

旗の台3丁目の、真っ赤なパン屋さん

旗の台3丁目を歩いていると、ふと目を引く鮮やかな赤い店構えが現れます。そこにあるのが、台湾のパンを中心に扱う「阿美パン(Amei Pan)」です。

扉を開けると、大人ひとりがやっと入れるほどのこぢんまりとした空間。けれど、目の前のショーケースには可愛らしい形をしたパンがぎっしりと並んでいて、どれにしようか、早くも嬉しい迷路に迷い込んでしまいます。

ショーケースの名札は、黒と赤の2色に分かれています。赤い札が台湾のパンなので、初めてでも台湾パンを迷わず見つけられます。

肉鬆パン、饅頭、ネギパンの赤い札が並ぶ阿美パンのショーケース

店主は、台湾中部出身の游政豪(ユ・チェンハオ)さん。
 
台湾のベーカリーで働いたのち、日本でパンを学ぶために来日し、2021年に荏原町で開業。2024年の秋に、ここ旗の台の商店街へ移ってきました。職人の繊細な技術と感性が、この小さなショーケースの隅々にまで息づいています。

この日は、「ネギパン」「肉鬆(ローソン)パン」、そして前回名前をうっかり忘れてしまったザーサイのパン(お店の札では「ピーナッツ・ザーサイ・角煮」)の3つを選んでみました。
 

コッペパンのようで新しい、奇跡のような生地

まず感動したのは、何といってもパン生地そのものの美味しさです。

普段からコッペパンのような素朴なパンに目がないのですが、阿美パンの生地は、親しみやすさを持ちながらもまったく次元が違います。ホワッと軽い食感の奥から、じんわりとした柔らかな甘みと豊かな旨みが広がり、驚くほどしっとりして滑らかな口あたり。たっぷりのバターのおかげなのか、パサつきが一切ありません。

コンビニなどの棚に並ぶ定番のパンに慣れていると、手にしたときの大きさに比べて「おや、少しお値段が張るかな?」と感じる方もいるかもしれません。けれど、ひと口かじれば、その価格の裏にある職人の手仕事と素材の贅沢さが、スッと腑に落ちるはずです。

生地に包まれた具材たちは、どれも過激なパンチがあるわけではないのに、不思議とあとを引く味わい。繊細な生地の持ち味を壊さず、それでいてしっかりと輪郭を支えている。店主の計算し尽くされた技なのだと納得させられます。

ネギパン、肉鬆パン、ザーサイが運んでくる台湾の風

ネギがたっぷりのったネギパンを割ったところ

たとえば「ネギパン(240円)」は、ネギを蒸し焼きにしたときのような、くったりとした優しい甘さと、噛んだ瞬間に鼻を抜けるネギ独特の小気味よい苦みがアクセント。この香ばしい青みと、パン生地の甘みが驚くほど絶妙にマッチしています。

そして、ひときわ異彩を放つ「肉鬆(ローソン)パン(380円)」。
 

表面が肉でんぶで覆われた肉鬆パン

パンの表面をこれでもかというほど覆っているのは、肉を炒ってほぐした、ふわふわの肉でんぶ(肉鬆)です。

かぶりついた瞬間は、肉でんぶのボソボソ・ざらざらとした独特の食感がダイレクトにやってきますが、何度か噛みしめるうちに、中の滑らかなペーストと肉でんぶが一体となり、最高の旨みへと変わっていく。

最後に全体をまろやかにまとめ上げるのも、やっぱりこの類まれなパン生地の仕事です。

「これ、うまい!」と思わず声が漏れてしまいました。
 

黒ごまがのったピーナッツ・ザーサイ・角煮のパン

さらに、名前はうろ覚えだったけれど見逃せない、ザーサイのパン。これもまた食感の組み立てが見事で、コリコリとしたザーサイの歯ざわりが最高のアクセント。惣菜パンとしての完成度の高さに舌を巻きます。

ザーサイと角煮がぎっしり入ったパンの断面

半分残して、次の日に食べてみたら……

もちろん買ったその日に食べるのが一番美味しいのは間違いないのですが、一度に何個も食べられるわけではないので、半分残して次の日にも味わってみました。

……これが、やっぱり美味しいんです。時間が経っても、あのしっとりとした柔らかさや生地の甘みがしっかりと生きていて驚きました。

もしご近所なら毎日でも顔を出したいところですが、旗の台に足を伸ばしたときは、翌日のお楽しみ分も含めて少し多めに買っておくのも大正解かもしれません。
 

パン屋に通う「理由」に出会ってしまった

甘いものを食べて、しょっぱいものを食べて……と、交互に口にすることで永遠に抜け出せなくなる「無限ループ」の心地よさ。阿美パンのパンには、まさにあの中毒性があります。

普段はあまり街のパン屋さんでパンを買い込むことがなかったのですが、このお店と出会ったことで、たくさんの人が毎日のようにパン屋さんに通い、新しい味との出会いを楽しむ理由が、ようやく分かった気がします。

しっとり甘い生地と、驚きに満ちた未知の惣菜パンたち。旗の台の日常にふわりと新しい風を吹き込んでくれる、すっかりクセになってしまう一軒です。
 

お店の情報

旗の台3丁目の商店街にある、真っ赤な扉の阿美パンの外観
項目内容
店名阿美パン(アメイパン/Amei Pan)
ジャンル台湾パン・惣菜パン(食パンやハード系のパンも)
住所東京都品川区旗の台3-14-4
アクセス東急大井町線・池上線「旗の台駅」から徒歩2分ほど
営業時間10:00〜19:00(売り切れ次第終了の場合あり)
定休日月曜・火曜(臨時休業あり)
お支払い現金・クレジットカード(PayPay・交通系ICは使えません)
公式Instagram @amei.pan

※ 2026年10月時点の情報です。営業時間やお休みは変わることがあるので、行く前にお店のInstagramを見てください。
 

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