街の解剖図

【旗の台3丁目】秋の夜に咲く和紙の桜。法蓮寺の「お会式」で幻想的な夜のお散歩へ

台車に載せられて夜道を進む万灯を横から見たところ
万灯は台車に載せて、ゆっくりと通りを進みます。

10月16日の夜、旗の台の街がいつもと違う熱気と幻想的な光に包まれるのをご存じでしょうか。

旗の台3丁目、荏原町駅のすぐそばに静かにたたずむ「法蓮寺(ほうれんじ)」。その境内に向かって、煌々と輝く万灯(まんどう)の列が練り歩く「お会式(おえしき)」の夜に足を運んできました。

太鼓の重い響き、夜空に舞う纏(まとい)、そして満開の桜のように輝く万灯のあたたかな光。

「来年の秋は絶対に見てみたい!」と思ってもらえるように、法蓮寺のお会式ならではの魅力と、現地を楽しむポイントをご紹介します。

池上本門寺の「4日後」に営まれるお会式

お会式は、日蓮聖人が亡くなった10月13日にあわせて営まれる法要です。いちばん有名なのは、日蓮聖人が亡くなった地・池上本門寺のお会式。12日の夜には百数十基の万灯が池上の街を埋め尽くします。

法蓮寺は、その池上本門寺の旧末寺。鎌倉時代、この地の領主だった荏原義宗の子が日蓮聖人の高弟・日朗上人に弟子入りし、朗慶上人としてこの寺を開いたと伝わります。旗の台の地名の由来になった旗岡八幡神社のすぐ隣にあり、かつてはその神社を管理する別当寺でもありました(3丁目のことは旗の台3丁目の解剖図で紹介しています)。

だから法蓮寺では、池上本門寺に続いて16日にお会式を営みます。池上の大きなお会式を見たあとに、旗の台の小さなお会式を見る。規模はまったく違いますが、つながりを知ってから見ると、じんとくるものがあります。

池上本門寺のお会式は、こちらの記事でくわしく紹介しています。→ 【池上本門寺 お会式】万灯練供養の見どころ

1. 和紙の桜をまとった「万灯」と、威勢よく舞う「纏」

お会式のいちばんの見どころは、なんといっても夜の街を彩る万灯です。

荏原町の通りで纏を振る講中と、その後ろを進む白い万灯
威勢のよい掛け声とともに舞う纏。そのすぐ後ろを、光り輝く万灯がゆっくりと進みます。

五重塔をかたどった木組みの万灯に、白い和紙の花をしだれ桜のように垂らした姿は、内側から明かりが灯るとまるで「夜に咲く大きな桜の木」のよう。日蓮聖人が亡くなったとき、季節外れの桜が咲いたという言い伝えになぞらえた飾りです。

その前を、威勢のよい掛け声とともに舞う纏が通りを盛り上げます。ひらひらと翻る纏の躍動感と、体に響く太鼓の低い音は、現地に身を置いてこそ味わえる醍醐味です。

夜の通りで纏を高く掲げて振る若い女性の振り手
沿道からの拍手に応えるように、力強く纏を振る姿に目を奪われます。
纏を片手で掲げ、足を踏み出しながら進む振り手
重い纏を支えたまま、リズムに合わせて一歩ずつ進んでいきます。

2. どこで見ればいい? おすすめの観賞ポイント

「通行止めの範囲が広くて、どこで見ればいいか分からない…」という方も多いかもしれません。

万灯は中延5丁目の南の端(大田区との境)から出発し、荏原町公園や庚申公園の脇を通って北へ進み、大井町線の踏切を越えて法蓮寺に入ります。

法蓮寺のお会式の万灯ルート。中延5丁目の南端のスタート地点から北上し、荏原町駅の脇を抜けて法蓮寺へ向かう
万灯のルート。中延5丁目の南の端から、まっすぐ北の法蓮寺をめざします。

おすすめは、「荏原町駅入口」交差点から法蓮寺へ向かう通りです。

商店街の灯りの中を進む、和紙の桜で飾られた五重塔型の万灯
商店街の灯りと万灯のあたたかな光が混ざり合い、見慣れた街並みが特別な空間に変わります。

少し早めにこの通り沿いに行くと、遠くから太鼓の音が少しずつ近づいてくる高揚感を味わえます。

沿道には地域の方々がずらりと並び、子どもからお年寄りまでが笑顔で万灯を見送る温かい光景が広がっています。地元の方と話すと「昔はもっとすごかったんだよ」なんて話を聞かせてくれることも。街の人たちに長く大切にされてきた行事だということが、ひしひしと伝わってきます。

3. クライマックスは法蓮寺の境内。光に包まれる幻想空間

通りを練り歩いた万灯が、法蓮寺の境内に入っていく瞬間こそ、このお会式のいちばんのハイライトです。

法蓮寺の境内に到着した万灯と、本堂の前に集まる人たち
境内に到着した万灯。間近で見ると、その繊細な仕上がりに思わずため息が漏れます。

境内に入った万灯は本堂の前へ寄せられ、講中の人たちが本堂に上がってお参りします。

「法蓮寺」の額がかかるライトアップされた本堂と、その前に寄せられた万灯
ライトアップされた法蓮寺の本堂と、煌々と輝く万灯。時間を忘れて見入ってしまう美しさです。

夜が深まるにつれ、どっしりとした本堂と、あたたかな光を放つ万灯が重なり合う光景は、どこかタイムスリップしたかのよう。

秋の澄んだ夜の空気の中で静かに光を眺めていると、日々の忙しさを忘れて、心がすーっと洗われていくような静かな感動に包まれます。

秋の旗の台で、特別な夜のお散歩を

夜の照明に浮かび上がる法蓮寺の本堂
お会式の夜、照明に浮かび上がる法蓮寺の本堂。

「お祭り」の熱気と、お寺ならではの幻想的でおごそかな空気が見事に調和した、法蓮寺のお会式。

開催は毎年10月16日。法要は17時から、万灯は19時ごろから繰り出します。

ふだん旗の台の街を歩いている方なら、いつもとまったく違う表情を見せるこの夜の風景に、きっと心を奪われるはずです。

来年の10月16日の夜は、少し暖かくして、法蓮寺へと続く光の列を追いかけてみてはいかがでしょうか。

スポット情報

項目内容
行事名法蓮寺 お会式(万灯練供養)
開催日毎年10月16日(法要17時〜、万灯19時ごろ〜)
場所八幡山 法蓮寺(東京都品川区旗の台3-6-18)
アクセス東急大井町線「荏原町駅」徒歩約1分/東急池上線・大井町線「旗の台駅」徒歩約8分
見どころ「荏原町駅入口」交差点から法蓮寺へ向かう通り〜法蓮寺境内

※日程と時間は法蓮寺の公式サイトの年中行事によります。お出かけ前に最新情報をご確認ください。

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