街の解剖図

【池上本門寺 お会式】万灯練供養の見どころ|纏の妙技と講ごとの違い、日程・時間・アクセス

五重塔を模した万灯と講中の法被
五重塔をかたどった万灯。背中の紋がそろった法被にも、講ごとの個性が出ます。

秋の空気が深まる10月、大田区の池上本門寺の周辺が、一年でもっとも熱く、圧倒的な活気に包まれる日があります。それが、日蓮聖人のご命日にあわせて営まれる伝統の法会「お会式(おえしき)」です。

池上本門寺は、日蓮聖人が亡くなられた場所。全国の日蓮宗のお寺でお会式は行われますが、ここ池上のお会式がもっとも盛大だといわれています。

街に繰り出すと、まず目を奪われるのが、夜の闇に美しく浮かび上がる巨大な灯籠「万灯(まんどう)」の数々です。

池上の街を埋め尽くす「万灯」の圧倒的迫力

桜色の造花の万灯
ほんのり桜色の造花の万灯。日蓮聖人が亡くなったときに咲いたという「お会式桜」を表しています。

桜の造花で華やかに飾り立てられた万灯は、池上本門寺のお会式を象徴する存在。夜になると、中の明かりや提灯が幻想的な光を放ちます。

お経に合わせてカンカンと鳴る鉦(かね)の音と、お腹に響く団扇太鼓(うちわだいこ)、そして笛の音。その響きとともに、お会式全体でなんと百数十基もの万灯が街を練り歩きます。

12日の夜、池上徳持会館から本門寺までの約2キロの道のりは、見渡す限りの万灯と、それに続く総勢約3,000人の行列で埋め尽くされます。

それぞれの「講中(こうじゅう)」が万灯を仕立てて本門寺を目指し、次々と集まってくる。お囃子の音が重なり合うその光景は、街全体が巨大な動く舞台になったかのような熱気です。
 

見逃せない!万灯行列を彩るふたつの見どころ

圧倒的な万灯の数と熱気に包まれる池上のお会式ですが、現地を歩いていて絶対に外せない見どころがふたつあります。行列の先頭で華を添える「纏(まとい)の振り手たちの技」と、それぞれの集まりによる「講(こう)ごとの個性」です。
 

1. 職人技が光る!宙を舞う「纏(まとい)」の妙技

白い纏を振る講中
纏を回す瞬間。沿道から思わず歓声が上がります。
池上駅前で振られる纏
池上駅の前でも纏が舞います。奥には黄色い造花の万灯。

万灯の行列の先頭を進み、お祭りの雰囲気を一気に盛り上げてくれるのが「纏」です。

纏を振ってお参りする習わしは、江戸の火消し衆が始めたといわれています。その重い纏を、男たちが代わる代わる、軽やかに、そしてダイナミックに振るいながら進んでいきます。

ただ持っているだけに見えて、実はこれが驚くほど高度な技術。腕力だけでなく遠心力を使ってブンブンと豪快に回したり、高く掲げてくるりと回したりと、見事な技の連続に、沿道からは思わず歓声が上がります。

団扇太鼓の速いリズムや鉦の音に合わせて纏が風を切る姿は、めちゃくちゃカッコいいハイライトのひとつです。
 

2. 見比べて楽しい!「講(こう)」ごとのデザインや雰囲気の違い

白い造花の万灯を担ぐ講中
白い造花がしだれる万灯を、法被姿の講中が担いで進みます。中の宝塔に灯った明かりがきれい。

もうひとつの面白さが、それぞれの「講中(こうじゅう=信仰のグループ)」ごとの違いです。百数十基の万灯や纏は、どこも同じというわけではありません。

  • 万灯を彩る桜の造花のボリューム感や色合い
  • 提灯の配置や、文字の書体
  • 担ぎ手たちの威勢のいい掛け声や、お囃子(団扇太鼓・鉦・笛)のテンポ
  • 纏のデザインや、それを振るときのスタイル

グループごとに、それぞれのこだわりや伝統があります。「あそこの講の万灯は装飾がすごく豪華だな」「こっちはお囃子のリズムが独特でカッコいいな」と見比べていくと、それぞれの個性がくっきりと見えてきます。
 

全国から集まる「講中」と、もっとも盛大なお会式

大堂の前を埋め尽くす人と万灯
夜の大堂前は、万灯と人でぎっしり。左奥には五重塔も見えます。

万灯を担ぎ、お会式に合わせてやってくるのは、地元の人だけではありません。全国から集まった講中が、この日のために万灯や団扇太鼓を携えて池上に集結します。

12日の夜には30万人を超える人が本門寺を訪れるといわれ、この規模と熱気は、全国のお会式の中でも別格です。

「お寺」といえば静かな場所を想像しがちですが、この日ばかりは違います。

厳密には神社のお祭りではなく、日蓮聖人のご命日に営まれる仏教の法要(法会)ですが、地元の人たちにとっては秋の一大イベントで、体感としては大きなお祭りそのもの。
 

ライトアップされた五重塔
ライトアップされた池上本門寺の五重塔。1608年に建てられた、関東でいちばん古い五重塔で、国の重要文化財です。

もともとは、日蓮聖人が亡くなられたとき、庭先の桜が季節外れの花を咲かせたという言い伝えにちなみ、紙の造花でその桜(お会式桜)を表した万灯を立てて供養したのが始まりとされています。

宗教的な厳かさと、これほど華やかで熱いエネルギーが同居していることこそ、池上のお会式のすごさです。
 

灯籠が並ぶ夜の参道
参道に並んだ灯籠。にぎやかな行列から少し離れると、静かなお寺の夜があります。

担ぎ手たちの表情や息づかい、そして夜空に揺らめく無数の万灯の灯り。実際にその場に身を置いてこそ伝わる、身震いするほどの迫力がここにはあります。
 

行事情報

項目内容
行事名池上本門寺 お会式(御会式・おえしき)
日程毎年10月11日〜13日(2026年は10月11日(日)〜13日(火))
万灯練供養12日の夜 18:00ごろ〜23:00ごろ(池上徳持会館から本門寺までの約2キロ)
場所池上本門寺と周辺一帯(東京都大田区池上1-1-1)
アクセス東急池上線「池上駅」から徒歩10分/都営浅草線「西馬込駅」から徒歩12分
特徴日蓮聖人のご命日(10月13日)に営まれる法会。百数十基の万灯と、団扇太鼓・鉦・笛の音が響きわたる
注意期間中は本門寺と池上駅周辺で交通規制あり。境内や周辺に露店が出ます
公式池上本門寺「お会式」

※ 2026年10月時点で、池上本門寺の公式サイトの情報を確認しました。日程や時間、交通規制は年によって変わることがあるので、行く前に公式サイトを見てください。

池上に住むなら

池上は、本門寺の門前町として歩いてきた街です。お会式の夜のように、街全体でひとつの行事を支える空気が、今も暮らしの中に残っています。

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