気に入った部屋に申し込んで数日。不動産会社から電話がかかってきました。
「申し訳ありません、保証会社の審査が通りませんでした」
理由を聞いても、「審査内容はお答えできない決まりで……」。何が悪かったのか分からないまま、部屋探しが振り出しに戻る。とても落ち込む瞬間です。
でも、ここで知っておいてほしいことがあります。
保証会社の審査に一度落ちても、それで部屋が借りられなくなるわけではありません。保証会社によって審査の基準は違い、次の一手はいくつもあります。
この記事では、保証会社の審査の仕組み、落ちる主な理由、そして次にできることを、賃貸の実務に携わる宅建士の私がまとめます。
1. 保証会社とは:連帯保証人の代わりになる会社
家賃保証会社は、借主が家賃を払えなくなったときに、借主の代わりに大家さんへ家賃を立て替える会社です。立て替えた分は、あとで保証会社が借主に請求します。
いまは、賃貸の契約で保証会社を使うのが当たり前になっています。国土交通省の資料(2018年)では、新しく結ばれる賃貸借契約の約6割で保証会社が使われているとされ、都内の募集物件でも、保証会社の利用を必須とする物件が多く見られます。
2017年からは、国土交通省の家賃債務保証業者の登録制度も始まっています。登録を受けた会社は、国の定めたルール(業務の適正な運営、相談窓口の設置など)を守ることになっています。
2. 保証会社には「系統」がある
保証会社は、業界ではよく次の3つに分けて呼ばれます(法律上の区分ではなく、実務での呼び方です)。

| 系統 | 特徴 | 審査で気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 信販系 | クレジットカード会社・信販会社のグループ | 信用情報機関(CIC・JICCなど)の情報を確認する。カードやローンの延滞歴があると通りにくい |
| 協会系 | 保証会社の協会(全国賃貸保証業協会=LICCなど)に加盟 | 加盟会社どうしで、過去の家賃の滞納情報を共有している |
| 独立系 | 上のどちらにも属さない | 会社ごとの独自の基準で審査する |
一般には、信販系がいちばん厳しく、独立系は比較的柔軟といわれます。ただし会社ごとの差が大きいので、あくまで傾向です。
3. 審査で見られる3つのこと
① 家賃を払い続けられるか(支払い能力)
年収と家賃のバランスが基本です。目安としてよくいわれるのは「家賃は月収(手取りではなく額面)の3分の1以下」。勤め先、勤続年数、雇用形態も見られます。
② 申込みの内容が正しいか
申込書の勤め先や年収、入居人数などが事実と違うと、それだけで審査に落ちることがあります。勤め先への在籍確認の電話や、本人確認の電話に出られなかったことが原因になることもあります。
③ 過去の支払い(信用情報・滞納歴)
信販系なら、クレジットカードや携帯電話の分割払い、ローンの延滞が影響します。協会系なら、過去の家賃滞納の記録が共有されていることがあります。
4. 落ちた理由は、教えてもらえない
保証会社は、審査の理由を基本的に開示しません。不動産会社も、理由までは知らされないことがほとんどです。
ただ、自分で確かめられることはあります。
- 信用情報の開示:CIC・JICCなどの信用情報機関に、本人が開示を請求できます(オンライン・郵送など。手数料がかかります)。延滞の記録が残っていないか確認できます
- 申込書の見直し:勤め先や年収、電話番号に書き間違いがなかったか
- 電話に出られたか:保証会社からの確認の電話を逃していなかったか
5. 次の一手:5つの選択肢
- 別の系統の保証会社で申し込めないか聞く:物件によっては、使える保証会社が複数あります。信販系で落ちたなら、協会系や独立系で再審査してもらえないか、不動産会社に相談します
- 連帯保証人をつける:保証会社の利用に加えて、親族などの連帯保証人をつけることで通る場合があります
- 家賃を見直す:年収に対して家賃が高いなら、家賃を少し下げた部屋で申し込む
- 初期費用を厚くする:敷金を多めに預ける、家賃を数か月分前払いするなどで、相談に乗ってもらえる場合があります(大家さんと保証会社次第です)
- 保証会社が不要な物件を探す:数は少ないですが、連帯保証人だけでよい物件や、大家さんが直接審査する物件もあります
いちばん大事なのは、落ちたことを不動産会社に正直に伝え、どこで落ちたかを一緒に整理することです。担当者は、どの保証会社が通りやすいかの経験を持っていることが多いからです。
6. 審査の前にできること
- 申込書は、勤め先・年収・電話番号を正確に書く
- 保証会社からの電話に出られる時間帯を伝えておく
- 家賃は年収とのバランスを考えて選ぶ
- クレジットカードや携帯電話の支払いは、日ごろから遅れないようにする
7. まとめ
- 保証会社は、家賃を立て替える会社。新しい賃貸契約の約6割で使われている
- 信販系・協会系・独立系で審査の傾向が違う(信販系が厳しいといわれる)
- 審査で見られるのは、支払い能力・申込内容・信用情報や滞納歴
- 落ちた理由は教えてもらえない。信用情報は自分で開示請求できる
- 別の保証会社、連帯保証人、家賃の見直しなど、次の一手はある
ジカビーの一言
審査に落ちると、自分が否定されたように感じてしまう人もいます。でも、保証会社の審査は、会社ごとの基準で機械的に決まる部分が大きいものです。
一度落ちたことは、そこで終わりではありません。どの段階で、どの会社で落ちたのか。それを担当者と一緒に整理すれば、次に進む道は見えてきます。
賃貸の契約やお金のことで迷ったら、LINEでご相談ください。
参考:国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」(2017年10月施行)、国土交通省資料(2018年3月)。系統の分け方は業界での一般的な呼び方です。
連載「借りる前に読む、賃貸の話」第2章(契約書と重要事項説明)#13。連載の目次を見る