引っ越し先が決まった。さて、今の部屋の解約はいつまでに伝えればいいんだろう?
「1か月前でいいと思っていたら、契約書には2か月前と書いてあった」
「月の途中で退去したのに、1か月分の家賃を払うことになった」
解約のときに、こうした「思っていたのと違う」がよく起こります。
先に結論を書きます。
解約の予告期間(1か月前か2か月前か)と、最終月の家賃の計算方法(日割りか月割りか)は、どちらも契約書で決まります。引っ越し先が決まったら、まず契約書の「解約」の条項を読み、記録が残る形で解約を通知する。そのうえで、家賃の計算方法に合わせて退去日を決めると、余分な家賃を払わずに済みます。
この記事では、解約の流れと損をしない退去日の決め方を、賃貸の実務に携わる宅建士の私がまとめます。
1. 解約の流れ

2. 予告期間は契約書で決まる
借主から解約するときの予告期間は、契約書の「解約」の条項に書かれています。
- 1か月前:居住用の賃貸ではいちばん多い
- 2か月前:最近は増えている
- 3か月前:まれにある
ちなみに民法では、期間の定めのない建物の賃貸借は、解約の申入れから3か月で終わるとされています(民法617条)。ただ、居住用の賃貸では、契約書で「借主は1か月前に予告すれば解約できる」と決めているのがふつうです。まず自分の契約書を確かめるのが出発点です。
「1か月前」は、いつから数える?
予告期間は、ふつうは解約の通知が管理会社に届いた日から数えます。たとえば「1か月前予告」で、10月15日に通知が届けば、解約日は11月14日ごろになります。
月末に退去したいなら、前の月の末日までに届くように通知しましょう。「解約通知は月末締め」など、管理会社によって独自の扱いがあることもあるので、電話で確かめておくと安心です。
3. 解約通知の出し方
- 書面やWebフォームなど、記録が残る形で:電話だけで済ませない
- 書くこと:物件名・部屋番号、契約者名、解約日(退去日)、連絡先、敷金の返金先
- 控えを残す:送ったメールや書面のコピー、Webフォームの受付画面
解約通知書の様式が決まっている管理会社も多いので、まずは管理会社に「解約したい」と連絡して、手順を聞きましょう。
4. 日割り・半月割り・月割り
最終月の家賃の計算方法も、契約書に書かれています。
| 計算方法 | 中身 | 10月10日に退去すると |
|---|---|---|
| 日割り | 解約日までの日数分 | 10日分 |
| 半月割り | 15日までなら半月分、16日以降は1か月分 | 半月分 |
| 月割り | 月の途中でも1か月分 | 1か月分 |
月割りの契約で月の初めに退去すると、ほとんど住んでいない日の家賃も払うことになります。月割りなら、解約日を月末にそろえるのが基本です。
解約日と退去日(鍵の返却)は違う
家賃は、解約日までかかります。荷物を出して鍵を返しても、解約日より前なら、解約日までの家賃は払うのが一般的です。逆に、解約日を過ぎても鍵を返さなければ、その分の家賃(使用損害金)を求められることがあります。
引っ越しの日程が決まったら、解約日・鍵の返却日・退去立会いの日をまとめて決めておきましょう。
5. 二重家賃を減らすコツ
引っ越すときは、新しい部屋と今の部屋の家賃が重なる期間(二重家賃)が出やすいものです。
- 新しい部屋の入居日(家賃の発生日)を遅らせる交渉をする:申込みの時点で相談する
- 今の部屋の解約通知を早めに出す:新居の審査が通ったら、すぐ準備する
- フリーレントの物件を選ぶ:ただし短期解約違約金の特約に注意
6. 短期解約違約金に注意
礼金ゼロの物件や、フリーレントの物件では、「1年未満で解約したら家賃1か月分」といった短期解約違約金の特約がついていることがあります。解約を決める前に、契約書の特約を確かめましょう。違約金の考え方は、礼金ゼロ物件と短期解約違約金の記事とフリーレントの記事で解説しています。
また、定期借家は、原則として期間の途中で解約できません。ただし、床面積200㎡未満の住まいで、転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情で住み続けるのが難しくなったときは、借主から解約を申し入れ、1か月たてば終了できるとされています(借地借家法38条)。
7. まとめ
- 予告期間(1か月前・2か月前)は契約書で決まる。まず「解約」の条項を読む
- 予告期間は、ふつうは通知が届いた日から数える
- 解約通知は、記録が残る形で出し、控えを残す
- 最終月の家賃は、日割り・半月割り・月割りのどれか。月割りなら月末退去が基本
- 家賃は解約日までかかる。解約日・鍵の返却日・立会いの日をまとめて決める
- 短期解約違約金の特約がないか確かめる
ジカビーの一言
引っ越しは、新しい部屋のことで頭がいっぱいになりがちです。でも、今の部屋の解約の段取りで、数万円の差が出ることもあります。
新居が決まったら、今の部屋の契約書を開いて「解約」の文字を探す。それを最初の一歩にしてください。退去立会いの準備は、次の記事でまとめます。
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参考:民法617条、借地借家法38条、国土交通省「賃貸住宅標準契約書」。
連載「借りる前に読む、賃貸の話」第4章(更新と解約)#27。連載の目次を見る