
旗の台駅の南側、東急池上線が長原駅へと向かう途中に、その街は広がっています。
共同住宅と戸建てが仲良く半分ずつ肩を寄せ合い、街の真ん中には品川区立荏原第五中学校が静かに佇む場所。
線路際の低い場所には、店主の温かい人柄がにじむ個人店が並ぶ「稲荷通り商店街」。
そこから南へ350メートルほど、息を整えながら約10メートルの坂を上りきると、環七通りの気配を遠くに感じさせる穏やかな高台の住宅街へと繋がっていきます。
坂の下のぬくもりと、坂の上の澄んだ静けさ。
正反対の表情を抱えながらも、どちらかが勝つわけでもなく、実におさまりよく溶け合っている。
旗の台のなかでも、ふたつの顔がいちばんほどよく混ざり合う、愛おしい一角です。
旗の台5丁目とは…
共同住宅と戸建てがほぼ半分ずつ並び、街の中央には品川区立荏原第五中学校があります。
線路際の低地には、個人店が並ぶ落ち着いた商店街。そこから約350mでおよそ10m上った坂の上には、環七通りに近い静かな住宅街。
坂の下と上でまったく違う顔を持ちながら、そのふたつが張り合わずに並んでいる街です。
坂の上の静けさと、落ち着いた商店街
線路際から坂の上へ、ビル3階分の高低差
旗の台駅の南側、線路際から南の端に向かって歩くと、この丁目が坂の町だということに気づきます。
標高約23mの低地から始まり、中間地、少し息が弾む中間斜面を経て、環七通りに近い標高34mほどの高地へ。
約350mのあいだに、およそ10mを上ります。急な崖ではなく、低地から高地へと段階的に上っていく、なだらかなグラデーションです。


この坂の下と上で、街の顔ははっきり分かれます。低地には商店街があり、坂を上りきった先には静かな住宅街が広がっています。
線路の分断をすり抜ける、ふたつの跨線橋
東急池上線が斜めに横切る旗の台5丁目。地図で見ると、南の高台エリアと北西の中間地エリアが、線路でぷっつりと分かれているように見えます。行き来の王道は①の踏切ですが、実はこの線路を上からひょいと越えられる近道がふたつあります。
それが、線路の上に架かる「旗の台一の橋」と「旗の台二の橋」。高台エリアから中原街道方面へ抜けるとき、踏切の遮断機を待たずに渡れる、知る人ぞ知る街の隠しコマンドです。


② 旗の台一の橋(階段あり・歩行者向け)

階段で上り下りする、歩道橋タイプの跨線橋です。自転車では渡れませんが、橋の上から線路を見下ろすと、ちょっとした探検気分を味わえます。
③ 旗の台二の橋(段差なし・自転車も可)

階段がなく、平らなまま渡れる跨線橋です。歩く人はもちろん自転車でも通れるので、毎日の抜け道として重宝します。
一見すると行き止まりに見える場所にも、歩く人のための小さな橋が架かっている。そんな路地の工夫を見つけるのも、5丁目を歩く楽しみのひとつです。
低地にある、ふたつの商店街
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5丁目の暮らしを支えているのは、ふたつの商店街です。
ひとつは、旗の台駅の南口から踏切を渡った先に延びる「旗の台五丁目商店街」。この通りは中央商店街、四丁目商店街へと一直線につながり、荏原町方面へ続く三間通りの一部になっています。もうひとつは、中原街道から旗の台駅南口の踏切までを結ぶ「稲荷通り商店会」です。
同じ三間通りでも、4丁目の商店街は八百屋やスーパーが並び、人通りも多い活気のある通り。それに比べると5丁目の商店街はずっと落ち着いていて、店主の顔が見える個人店がぽつぽつと並びます。にぎわいの4丁目と、落ち着きの5丁目。通りつづきなのに、空気は対照的です。
稲荷通りの名の由来、旗の台伏見稲荷神社

「稲荷通り商店会」の名の由来とされる、住宅街の路地に佇む小さなお稲荷さんです。
朱色の鳥居をくぐると、商店街からひと筋入っただけなのに、すっと空気が変わります。大きな神社ではありませんが、手入れの行き届いたお社や奉納された幟旗(のぼりばた)から、地域の人たちがこの場所を大切に守ってきたことが伝わってきます。
商店街を歩くついでにふらりと立ち寄り、手を合わせる。そんな日常のひとコマがよく似合う、5丁目らしい小さな憩いの場所です。
旗の台5丁目の気になるお店
FUKAI SHOTEN(ホットドッグ)
実家の蕎麦店の跡を改装した、ホットドッグの専門店。国産豚肉100%、無添加の自家製ソーセージをボイルしてから焼き、外はパリっと、中はふんわりしたソフトフランスパンで挟みます。
ピアースカフェ(純喫茶)
クラシックが流れる、落ち着いた純喫茶。マスターが丁寧に淹れるコーヒーやカフェオレ、懐かしい味のミックスサンドがあり、ひとりでゆっくり過ごせる店です。
蕎麦 しのはら(蕎麦)
大森から移転してきた蕎麦店。和モダンな店内で、細打ちの蕎麦を濃いめのつゆでいただけます。天ぷらやおつまみもあり、名物は鴨せいろ。
MAGOT108(軽食カフェ)
30年以上続く、地元密着の軽食カフェ。和レトロな店内で、昔ながらのパスタやピラフが食べられます。朝6時から開いていて、手作りのモーニングや、焼き菓子・パンのテイクアウトもあります。
アーモンドツリー(エスニック)
アジア料理を気軽に楽しめるダイニング居酒屋。インドカレーやガパオライス、チキンビリヤニなどに加えて、備長炭で焼くシュラスコや焼きたてのチーズナンも評判です。ランチから昼飲み、飲み放題付きのコースまで使えます。
MYRTEN(ビストロ)
商店街から少し離れた、長原駅寄りの住宅街にひっそり佇む小さなビストロ。ご夫婦で営まれていて、店内はアンティークの器や季節の花に囲まれ、まるでギャラリーのよう。アーティストの作品が飾られることもあります。前菜のゼリー寄せや、ハーブとエディブルフラワーを添えたフレンチのコース、焼きたてのブリュッセルワッフルまで、一皿一皿に丁寧さが感じられます。記念日や大切な人との時間に選びたい一軒です。
普段使いの気安い店から、記念日に選びたい一軒まで。数は多くなくても、5丁目の飲食店には幅があります。
坂を上りきると、静かな住宅街
商店街を離れて坂を上っていくと、驚くほど静かな住宅街が広がります。
環七通りに近い坂の上でも、一本路地に入るだけで車の音が遠のきます。その中ほどにあるのが、品川区立荏原第五中学校。1丁目の昭和医科大学のような大きな存在感ではなく、住宅地の一部として静かに街になじんでいます。
坂の下の落ち着いた商店街と、坂の上の静かな住宅街。およそ10mの高低差を歩くうちに、街の表情が少しずつ切り替わっていきます。このふたつが張り合うことなく並んでいることが、5丁目のいちばんの心地よさです。
坂の町に、小さな公園がふたつ

5丁目にある公園は、旗の台公園と旗の台南公園のふたつだけ。どちらも決して広くはありません。住宅街の日常に、ちょこんと挟まるように佇んでいます。
けれど、このふたつを歩いてみると、ある共通点に気づきます。どちらも坂の街らしく「高低差」をそのまま遊び場に引き込んでいること。そして、どちらにも日陰のつく砂場があること。
大きな公園がドンとひとつあるよりも、歩いてすぐの場所に、小さくても手の届いた公園がふたつある。これもまた、5丁目らしい「ちょうどいい」暮らしのカタチです。
旗の台公園|高低差の吊り橋と、すだれの日陰の砂場

この公園の一番の主役は、地形の高低差を活かした吊り橋のアスレチック。網や木橋を渡ったり、斜面を上ったり下りたり。小さな探検家になった気分で、子どもたちが夢中になれる工夫が詰まっています。
すだれを載せたパーゴラの下には、ゆったりとした砂場とベンチ付きのテーブル。
日差しが強い日でも、心地よい日陰の中で遊ばせられるのが嬉しいところです。出入口が道路に直接面していない作りも含め、親の視点からもどこかホッとできる安心感があります。
旗の台南公園|カナリヤ坂の斜面に広がる、3段の遊び場

カナリヤ坂の途中にひっそりと寄り添う、傾斜地に造られた公園です。
敷地は段々畑のように3段に分かれていて、上るごとに表情を変えます。一番上は色とりどりの花壇に囲まれたブランコと滑り台。
真ん中は青いらせん滑り台の複合遊具。そして一番下には、すだれの日よけがかかった静かな砂場。階段をひとつ上り下りするたびに、遊びのスイッチが切り替わります。
なお、一番上の広場だけは細い道路を挟んだ向かい側にあるので、行き来するときは小さなお子さんと手を繋いで渡ってあげてください。
手入れの行き届いた花壇や植木、清潔なトイレや水飲み場にも、この街の丁寧な暮らしぶりが表れています。
坂道の多い町だからこそ、公園にだって高低差のドラマがあります。風の抜ける日に小さな手と繋ぎながら、このふたつをのんびりハシゴして歩くのも、とても豊かな旗の台の時間です。
この街が向く人、向かない人
向いている人
・戸建てか共同住宅か、片方に絞りたくない、選択肢の広さを求める人
・賑わいと静けさ、両方の道を使い分けたい人
・大きな公園より、歩いてすぐの小さな公園がいくつもある方が使いやすいと感じる人
・記念日や特別な日に、静かで美意識の高い一軒を持っておきたい人
向かない人
・大規模な公園で思い切り体を動かしたい人
・旗の台駅への近さを最優先したい人(長原駅の方が近いエリアもあります)
坂の下には顔の見える商店街、坂の上には静かな住宅街。
戸建ても共同住宅も、普段使いの店も特別な日の一軒も。旗の台5丁目には、ふたつの顔がほどよく混ざっています。
どちらか一方に決めなくていい。その気楽さこそが、この街の暮らしやすさです。
この街での部屋探しや、周辺エリアとの比較についてのご相談は、いつでもお気軽にどうぞ。


