不動産トラブル回避帳 賃貸編

【賃貸の更新書類が届いたら】サインする前に確認すべき3つのこと|家賃・費用・特約を宅建士が解説

更新の時期が近づくと、管理会社から封筒が届きます。中には、更新の契約書(合意書)、更新料の請求書、保証会社や火災保険の書類……。

「よく分からないけど、前と同じだろうし、サインして送ればいいか」

そう思って、そのまま返送していませんか?

先に結論を書きます。

更新の書類は、前回の契約書と見比べてから署名・押印しましょう。確認するのは、①家賃と条件、②更新でかかるお金、③新しく増えた特約、の3つです。更新の書類に署名すると、そこに書かれた内容に同意したことになります。

この記事では、更新の書類で見落としやすいポイントを、賃貸の実務に携わる宅建士の私がまとめます。

1. 確認すべき3つのこと

更新の書類が届いたら確認する3つのこと。1条件(家賃・共益費・付帯費用・借主と同居人の記載)、2お金(更新料と更新事務手数料・保証会社の更新料・火災保険の更新)、3特約(契約期間と次の更新日・追加や変更された特約・返送の期限)。

手元に前回の契約書を用意して、1行ずつ見比べるのがいちばん確実です。

2. ① 家賃と条件は同じ?

  • 家賃・共益費(管理費):金額が上がっていないか
  • 駐車場代・駐輪場代などの付帯費用
  • 借主・同居人の記載:家族が増えた・減った場合は、正しく書かれているか
  • 連絡先・勤務先:変わっていれば、更新のときに届け出る

特に注意したいのは、家賃の値上げが、更新の書類にさりげなく書かれているケースです。値上げについての事前の説明がなかったのに、新しい家賃で書類がつくられていることがあります。

東京都は、正当な理由のない値上げに簡単に応じないよう呼びかけ、「一度、同意してしまうと、後日、この同意を取り消すことは難しくなります」と注意しています。値上げの通知への対応は、この章の後半の記事で詳しく解説します。

3. ② 更新でかかるお金

費用払う相手確かめること
更新料大家さん契約書に書かれた金額・計算方法と合っているか
更新事務手数料管理会社・仲介会社最初の契約書や重要事項説明書に書かれていたか
保証会社の更新料家賃保証会社保証委託契約に書かれた金額か(年1万円、家賃の一定割合など)
火災保険の更新料保険会社補償内容と金額。保険の期間が切れていないか

更新料の考え方は、更新料の記事で解説しています。

火災保険は切らさない

賃貸の契約では、火災保険(借家人賠償責任保険を含むもの)への加入が条件になっていることがほとんどです。保険の期間は2年のことが多く、更新を忘れると無保険の期間ができてしまいます。

管理会社から案内された保険でなくても、条件を満たす保険なら自分で選べることもあります。補償内容と保険料を比べてみたいときは、管理会社に「指定の保険でないといけないか」を確かめてみましょう。

4. ③ 新しい特約が増えていない?

更新のときに、前回の契約書にはなかった特約が追加されていることがあります。

  • 退去時のクリーニング費用の定額化
  • 短期解約違約金
  • ペット・楽器などのルールの変更
  • 解約予告の期間の変更(1か月前→2か月前など)

特約が有効になるには、借主がその内容をきちんと理解して合意していることが必要です。ただ、署名・押印をすれば、合意したと見られやすくなります。見慣れない特約があれば、署名の前に説明を求めましょう。特約の考え方は、特約の有効・無効の記事にまとめています。

契約期間と次の更新日

更新後の契約期間(「2026年12月1日〜2028年11月30日」など)と、次の更新日を確かめて、カレンダーにメモしておきましょう。解約や引っ越しを考えるときの目安になります。

5. 変更に納得できないときは

  • すぐに署名しない:返送の期限が近くても、まず管理会社に連絡する
  • 「前回からどこが変わりましたか」と聞く:変更点を書面やメールで説明してもらう
  • 話し合う:家賃の値上げや新しい特約は、交渉できることもある

話し合いがつかないまま期間が過ぎると、法律によって前と同じ条件で更新されたものとみなされます(法定更新)。更新の種類の違いは、次の記事で解説します。

6. まとめ

  • 更新の書類は、前回の契約書と見比べてから署名する
  • ①家賃・共益費・付帯費用・借主の記載が同じか
  • ②更新料・更新事務手数料・保証会社の更新料・火災保険を確かめる
  • ③新しい特約が増えていないか。契約期間と次の更新日もメモ
  • 納得できない変更は、署名の前に説明を求め、話し合う

ジカビーの一言

更新の書類は、最初の契約のときと違って、宅建士による重要事項説明がないことがほとんどです。だからこそ、自分の目で確かめる必要があります。

前回の契約書を引き出しから出して、10分だけ見比べてみてください。それだけで、2年分の安心が変わります。

賃貸の契約やお金のことで迷ったら、LINEでご相談ください。

参考:借地借家法26条、東京都 住宅政策本部「不動産取引に関する相談及び指導等の概要(令和6年度)」(2025年11月19日)。

連載「借りる前に読む、賃貸の話」第4章(更新と解約)#25。連載の目次を見る

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