「更新の書類、まだ出していないけど、もう期限が過ぎちゃった。契約はどうなるの?」
「うちの契約は自動更新と書いてあるけど、何もしなくていいの?」
賃貸の「更新」には、実はいくつかの形があります。
先に結論を書きます。
賃貸の更新には、①契約書の条項にもとづく「自動更新」、②大家さんと借主が話し合って新しい書類を交わす「合意更新」、③話し合いがつかないまま期間が過ぎ、法律によって更新される「法定更新」の3種類があります。どの形でも、普通借家なら借主はそのまま住み続けられます。違いが出るのは、手続き、更新料、そして次の更新のしかたです。
この記事では、3つの更新の違いを、賃貸の実務に携わる宅建士の私がまとめます。
1. 3種類の更新

| 種類 | どうやって更新される? | 更新後の期間 |
|---|---|---|
| 自動更新 | 契約書の「期間満了の○か月前までに申し出がなければ、同じ条件で更新する」といった条項による | 条項で決めた期間(2年など) |
| 合意更新 | 大家さんと借主が話し合い、更新の契約書(合意書)を交わす | 合意で決めた期間(2年など) |
| 法定更新 | 合意がないまま期間が過ぎ、借地借家法26条により同じ条件で更新したものとみなされる | 期間の定めのない契約になる |
2. 自動更新
契約書に、次のような条項がある場合です。
本契約は、期間満了の3か月前までに、貸主または借主から書面による別段の申し出がないときは、同一の条件でさらに2年間更新されるものとする。
この場合、期限までにどちらからも申し出がなければ、書類のやりとりがなくても契約は更新されます。
更新料の定めがあれば、自動更新でも更新料はかかります。 契約書の更新料の条項を確かめておきましょう。
3. 合意更新
実際の賃貸でいちばん多いのが、この形です。期間が終わる前に、管理会社から更新の書類が届き、借主が署名・押印して返送します。
- 家賃や条件を見直す機会になる(値上げ・値下げ・特約の追加など)
- 署名した内容に同意したことになる
書類にサインする前に確かめたいことは、更新の書類が届いたら確認すべき3つのことの記事にまとめています。
4. 法定更新
更新の話し合いがまとまらない、借主が書類を返送しないまま期間が過ぎた、といった場合でも、普通借家なら契約は終わりません。
借地借家法26条では、大家さんが期間満了の1年前から6か月前までに「更新しない」と通知しなかった場合、前の契約と同じ条件で更新したものとみなすとされています。通知をしていても、期間が過ぎたあと借主が住み続け、大家さんがすぐに異議を述べなければ、同じく更新したものとみなされます。そして、大家さんが更新を拒むには、正当事由が必要です(28条)。
法定更新のあとは「期間の定めのない契約」
法定更新されると、更新後の契約は期間の定めのない契約になります(26条1項ただし書き)。つまり、「2年後にまた更新」という区切りがなくなります。
- 次の更新はない:更新料が問題になることも少なくなる
- 大家さんからの解約の申入れ:申入れから6か月たつと終了する。ただし正当事由が必要(27条・28条)
- 借主からの解約:契約書の解約の条項(「1か月前に通知」など)に従うのが一般的
法定更新のときの更新料の扱いは、契約書の書き方しだいで、払う義務を否定した裁判例も多くあります。くわしくは更新料の記事で解説しています。
5. 定期借家は「更新」しない
ここまでの話は、普通借家の場合です。定期借家は、期間が来たら更新されずに終わる契約です。続けて住みたいときは、大家さんと合意して再契約をすることになります。再契約では、家賃や条件が変わることもあります。
自分の契約がどちらかは、契約書の表題や重要事項説明書で確かめられます。2つの違いは、普通借家と定期借家の記事で解説しています。
6. まとめ
- 賃貸の更新には、自動更新・合意更新・法定更新の3種類がある
- 自動更新は契約書の条項による。更新料の定めがあれば払う
- 合意更新は、書類を交わして更新する、いちばん多い形。条件の見直しもここで
- 法定更新は、話し合いがつかなくても法律で更新されるもの。以後は期間の定めのない契約に
- 定期借家には更新がない。住み続けるなら再契約
ジカビーの一言
「更新の書類を出し忘れたら、追い出されるのでは」と心配する人がいますが、普通借家なら、それだけで契約が終わることはありません。法律が、住んでいる人を守っています。
とはいえ、書類を放っておくのはおすすめしません。管理会社からの連絡には返事をして、分からないことは聞く。それがいちばん穏やかな住み続け方です。
賃貸の契約やお金のことで迷ったら、LINEでご相談ください。
参考:借地借家法26条・27条・28条・38条、国土交通省「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版)」(令和4年3月)。
連載「借りる前に読む、賃貸の話」第4章(更新と解約)#26。連載の目次を見る