犬と一緒に住める部屋を探していると、物件情報に2つの書き方があることに気づきます。
「ペット可」
「ペット相談」
どちらも飼えそうに見えます。でも、この2つはまったく別物です。
先に結論を書きます。
「ペット可」は、条件の範囲なら飼ってよい部屋。「ペット相談」は、大家さんに相談して、書面で承諾をもらえたら飼える部屋です。相談可は「許可」ではなく、「承諾をもらえる余地がある」というだけです。
この記事では、2つの違い、契約書のどこにペットのルールが書かれるか、承諾をもらうときに確かめたいこと、無断で飼ったときのリスクを、賃貸の実務に携わる宅建士の私がまとめます。
1. 「ペット可」と「ペット相談」の違い

| 表示 | 意味 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| ペット可 | 決められた条件の範囲なら飼える | 「小型犬1頭まで」「猫不可」など、条件を必ず確認 |
| ペット相談 | 大家さんの判断。承諾をもらえれば飼える | 種類・大きさ・頭数によっては断られる。申込み前に確認を |
| (表示なし・不可) | 原則として飼えない | 「小鳥や魚ならよい」などの例外も、契約書で確認 |
「ペット相談」の部屋は、もともとペットを想定していない部屋に、条件つきで認めることが多いものです。犬はよいが猫はだめ、小型犬1頭ならよい、といった判断になりがちです。
2. 契約書では、どう書かれる?
国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」では、ペットの飼育は、大家さんの書面による承諾が必要な行為として書かれています。
- 観賞用の小鳥や魚など、明らかに近所に迷惑をかけるおそれのない動物以外の、犬・猫などの動物を飼うことは、貸主の書面の承諾が必要
- 猛獣や毒蛇など、明らかに近所に迷惑をかける動物を飼うことは、どんな場合も禁止
実際の契約書もこれに近い形が多く、さらに特約で「ペットの飼育は1頭まで」「退去時は消臭・クロスの全面張り替え費用を借主負担とする」などの条件がつきます。
3. 承諾をもらうときに、書面で確かめたい5つのこと
口頭で「いいですよ」と言ってもらっただけでは、あとで「聞いていない」となりかねません。承諾は書面で。そのうえで、次のことを確かめておきましょう。
- 飼う動物の種類・大きさ・頭数:「小型犬(体重10kg以下)1頭」のように具体的に
- 増やすときのルール:もう1頭増やす、子どもが生まれた、などのとき
- 敷金の追加や償却:「ペット飼育の場合は敷金1か月追加、うち1か月償却」などの条件
- 退去時の負担:消臭、クロス張り替え、床の補修などを、どこまで借主が負担するか
- 共用部分のルール:エレベーターでは抱きかかえる、廊下を歩かせない、など
ペットによるキズや臭いは、退去時に借主の負担になります(東京都のガイドラインでも、ペットによる柱のキズなどは借主負担の例として挙げられています)。敷金・償却の仕組みは敷金・保証金・敷引きの記事で解説しています。
4. 無断で飼ったらどうなる?
ペット不可の部屋で、こっそり飼う。これは契約違反です。
- 大家さんから飼育をやめるよう求められ、従わなければ、契約を解除されて退去を求められることがある
- 退去時に、臭いやキズの補修費用を請求される
- 特約に違約金が決められていれば、違約金を請求されることもある
賃貸借契約の解除は、大家さんと借主の「信頼関係」が壊れたといえるかどうかで判断されるのが原則です。ただ、ペットの無断飼育で鳴き声や糞尿の被害が出た事案や、飼育禁止の特約に違反した事案で、契約の解除が認められた裁判例も紹介されています。「バレなければ」「少しくらい」は通用しないと考えておきましょう。
5. ペットと暮らしたい人の部屋探しのコツ
- 「ペット可」「ペット相談」で検索し、条件まで確認する:種類・大きさ・頭数を先に伝える
- 申込みの前に承諾をもらう:申込書にペットの種類・頭数を書き、承諾を条件に申し込む
- ペット共生型の物件も検討する:足洗い場や傷に強い床など、最初からペット向けにつくられた部屋もある
- 家賃と初期費用を比べる:ペット可の部屋は家賃や敷金が高めのことが多い
6. まとめ
- 「ペット可」は条件の範囲で飼える部屋。「ペット相談」は承諾をもらえれば飼える部屋
- 標準契約書では、犬・猫などの飼育は貸主の書面承諾が必要な行為
- 承諾は書面で。種類・頭数・敷金・退去時の負担まで確認する
- 無断で飼うのは契約違反。解除や補修費用の請求につながる
- ペットのキズや臭いは、退去時に借主の負担になる
ジカビーの一言
ペットは家族です。だからこそ、あとで「飼ってはいけなかった」となるのは、飼い主にとっても動物にとってもつらいことです。
「相談可」の部屋では、遠慮せずに最初から具体的に伝えてください。種類も大きさも分かれば、大家さんも判断しやすくなります。書面で承諾をもらって、堂々と一緒に暮らしましょう。
賃貸の契約やお金のことで迷ったら、LINEでご相談ください。
参考:国土交通省「賃貸住宅標準契約書」(平成30年3月版)第8条・別表第1・別表第2、東京都「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」。裁判例は法律事務所の解説で紹介されたものです。
連載「借りる前に読む、賃貸の話」第2章(契約書と重要事項説明)#15。連載の目次を見る